こどもの学力=母親の余暇時間
昨今、なぜここまで中学受験が過熱しているかというと、
高校受験や大学受験と違い、親が子どもをコントロールし、並走しやすいというのがその大きな理由でしょう。
親が伴走できない高校受験と大学受験と違い、中学受験は親が志望校を選び、塾に行かせ、宿題の管理、勉強を教えるといったことが可能です。
また勉強の内容も、勉強すれば多くの親が理解できる範囲ですので、中学受験は小学校受験に近い属性であると考えられます。
ちなみに算数も小5の途中までは多くの親がついていけます。ただ数学を知っている親にとって、小6や中学校試験問題は教えることが厳しくなります。
特に、親が教えるという行為をしているかしていないかで、こどもの成績は大きく変わります。
「わからない所は塾の先生に聞きなさい」というのは、親に取っては都合の良い言葉ですが、塾の先生にしてみると、基本の問題を長々と説明することほど、無駄だと思う時間はありませんでしょう。
その一方で、難問の解説を聞きにきた子どもは、ちょっとした時間で、「あ!なるほど!」と言ってくれるので、先生としては、できない子どもに時間をかけて教えるより、できる子に対して教えたほうが、自分の自己肯定感も高くなるため、どうしてもできない子どもに対して、冷たくなっていくでしょう。「何回も言ってるやん!」、「もう次の人待っているから!」となります。
またそれは、家庭教師の先生も同様です。
どちらも、限られた時間の中で、目の前の子どもの成績を向上させるという点では同じです。
そのため、どうしても時間の制約から、分からない問題を子どもにじっくり教えるという時間が塾の講師や家庭教師にはありません。
その点、親先生は、時間の制約がありません。また精神力さえあれば、何時間でも子どもに分からない問題を指導することができます。睡眠時間削りたい放題です!
ちなみにそよ精神力には、親が子どもの学習スケジュールを作成すること、子どもを怒鳴らないこと、子どものやる気をなくさせないこと、分からない問題を親が自分で理解すること、塾の教材のを2次活用し、子どもに適した問題集を作成することといったことが挙げられるでしょう。
この強靭な精神力をもった親の一人が佐藤ママであったのだと思います。
ただ1点、佐藤ママは専業主婦でした。
この点で共働きは、中学受験はおいて非常に不利な環境だと考えられます。
帰国子女はなぜ頭が良いと言われるのか
高校受験と中学受験に、帰国子女枠というものがあるくらいに、帰国子女は受験に有利というイメージがあります。
実際、国際的な感覚を持っていたり、英語がある適度聞けて話せること子どもは多いと思います。
しかし、日本にいるハーフの子どもや外国籍の子どもが頭が良いと言えるでしょうか。
それは、人によるとみなさん言うでしょう。
では、なぜ海外に住む日本人の子が、日本に帰国すると周りから賢いといわれるのでしょうか。
それは完全に「日本人ママコミュニティ」の影響力の副産物なのです。
日本でも、タワマン文化と言われるように、同じタワマンに住む子ども同士で親がマウントを取り合うというのは、今ではよく聞く話になってしました。
関東においても、特に東京都の港区、千代田区、中央区、渋谷区等にファミリーで住むことになれば、このような世界観だと思います。
そのコミュニティをもっともっと閉鎖的に、小さくしたのが、外国の日本人コミュニティです。駐在員中心のコミュニティです。とくに、大企業の駐在員の奥様がその文の中心にいます。トヨタ、三菱地所、伊藤忠…。
過去に日本人学校で働く先生から伺ったお話です。それは、日本人コミュニティの奥様たちの教育に関する意識が高すぎることです。
基本的に、企業の駐在員に選出されるくらいの旦那様ということから、将来日本を代表企業の幹部候補の方たちがほとんどらしいです。
また学歴も、その会社内でも非常に高い方が多く、旦那様ももちん教育に非常に熱心です。日本のように海外では衣食住以外に使う所がそこまでないので、子どもの教育にはフルベットに近いお金が動きます。
また駐在の場合、慣れない海外生活の健康面や精神面を奥様がサポートすることが企業側としても、家族に求めているため、専業主婦が基本で、その手当も非常に多いのが一般的です。先進国でも家政婦がついたり、運転手がいることは珍しくありません。
そんな時、奥様は余裕のある収入と時間を何に使うかと言えば、
日本人同士のコミュニティ形成と自分の子どもたちへの教育投資です。
つまり、現地駐在員妻の話題の中心は、どの国でも、日本人コミュニティが存在する限り、「教育」の話なのです。旦那の話と子どもの話でコミュニティが形成されているのです。そして、それを肴にした週末のパーティです。
私も留学をしていましたので、海外でまともな大人はパーティに参加するのが当たり前です。パーティに参加出来ないということは、収支が悪くや家庭が不仲であることを発表するようなことでしょう。ドジャース大谷翔平の奥様会のようなものです。
奥様の余りあるお金と時間は、海外という環境で子どもの教育投資へと極限まで高まるはずです。
つまり、海外では旦那の収入と妻の時間、そして、周りの環境がその子どもの学力や学歴に直結していることになります。
つまり、共働きは、収入の面ではすこし有利ですが時間がありませんので、帰国子女のような子ども生み出すことは不可能なのです。
さらに収入も時間もない家庭は、必然的に子どもの教育投資は、低くなってしまうため、あらゆるものが子どもにとっては不利に働いてしまうことが分かります。
そのため、資本主義の社会構造は、子どもにも教育環境や学歴・学力が連鎖してしまうのです。
つまり、帰国子女の子が優秀なのは外国に住んでいたから優秀なのではなく、教育投資を最大限に受けられる環境がその子どもを優秀にしているだけなのです。
そしてその子が、学校にとって少ないリソースで進学実績を高め、社会で活躍する人材となることから、帰国子女枠を用意しているだけなのでしょう。
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